長万部写真道場研究所

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夕張、安藤文雄の写真

昨年開催された、札幌芸術の森美術館での「モーション/エモーション -活性の都市-」展に出品された、夕張在住の写真家、安藤文雄さんの作品の状況について密かに気になっていたのですが、今月清水沢コミュニティゲートがオープンしたことがきっかけになり、思い切って聞きに行ってきました。
この時展示された作品は、ご本人が選定したものだということです。
私もこの展覧会は、これらの作品が見たくて、訪れていました。

土門拳よりも先に、炭鉱街をテーマに撮り始めたということが取り上げられたりしていましたが、
夕張にいた人がカメラを持ったのだから、それは必然だったというほかないのではないでしょうか。
土門拳と懇意になり、一緒に夕張の炭鉱の撮影に行ったこともあるとか。

今回は、(一社)清水沢アートプロジェクト代表の佐藤真奈美さんを通じて、元夕張市美術館館長の上木さんの元を訪ねました。
同展に出品が決まった時、安藤さんご本人は存命でいらっしゃったそうなのですが、展示会期の直前に逝去されてしまったらしいということを、まさに佐藤さんからのお話で伺っていたので、いろいろと質問していたところ、とりあえずは上木さんに会ったらいいですよと、仰ってくださったのでした。ありがたや。

上木さんによると、安藤さんの写真は、現在御遺族の方が所有されているそうです。
また、「モーション/エモーション」展に出品された作品20〜30点程度は、追悼展として2016年5月〜6月に夕張で展示されたのち、芸術の森が収蔵したそうです。

追悼展は、上木さんらが行ったそうな。
今後は、一周忌の展示のお話も出たりもしているようです。
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そんなこんなでコーヒーや緑茶やミントティーやお菓子をいただきつつ、お話をしていたら、
安藤さんと一回り年の離れた同郷の写真家、大崎盛(さかり)さんもいるよと、紹介してくれました。
写真集をめくると、安藤さんとほぼ同じアングルの写真もありました。
お二人は仲の良い写真仲間だったそうです。
[追記2016.10.30]一回り年の離れた、と言われたのですが、調べたところ1つ下でした。よほど慕っていたような間柄だったのでしょか。
大崎盛

長万部写真道場のメンバーの写真にも、ほぼ同じ瞬間、ほぼ同じアングルで撮った写真というのがあります。友人同士で並んで撮影に向かうことがあるので、どうやらそうなってしまうようです。

安藤さんが亡くなった後から作品の管理は遺族の方が引き受けることになったということです。
生前は、ご自分で管理されていたようなので、一挙に状況が変化したということがわかりました。
芸術の森美術館さんが、展示作品を収蔵されたというのは、良いことではありますが、
それだけを収蔵しても本来的には意味が出ないというのは上木さんも仰ってくれており、
私も同感するところです。


清水沢コミュニティゲートは、炭鉱住宅を改装して作られた、よりどころ/休憩所/コワーキングスペース/アートスタジオ/ミニオフィスなどなどに使える、多目的施設です。一般社団法人清水沢アートプロジェクトが運営を行っています。産業遺産や夕張のストーリーを伝える「清水沢エコミュージアム」という構想の元、その拠点として運営していくようです。
本格オープンは今月10月6日だったそうですが、約一ヶ月のレジデントの受け入れと合わせて奔走されていました。
今回は、私もこの施設を利用させていただいて、夕張に滞在しました。

清水沢コミュニティゲート
長期滞在してバリバリ制作中のアーティストの菊池史子さん(左)と、代表佐藤真奈美さん(右)。
束の間のオフタイム。。。

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http://www.shimizusawa.com/
この施設は、開館日は毎週、金土日祝日、 10:30-15:30までスタッフ常駐とのことです。

菊池さんのプロジェクトのリサーチに混ぜてもらって、自然に還りつつある小学校跡地を探して山歩きをしたり、父と一緒に清水沢の山に狩猟に出たりもすることができました。

<夕張の写真家>
安藤文雄
1925年、夕張市生まれ。1991年まで曹洞宗禅峯寺住職、1952-85年間まで夕張北高等学校教諭。夕張写真サークル会員、北海道写真協会夕張支部長。2016年没。
写真集
・『夕張(ふるさと)を見つめた半世紀』(1998年、安藤文雄写真集発刊委員会)
・共著『夕張 あの頃の炭都』(2007年、河出書房)

大崎盛
1924年宮城県生まれ。穂別を経て追分町に定住。1940年、夕張町に転居し、北炭夕張鉱業所に就職。1944年、志願兵として出兵。翌年、樺太にてソ連軍捕虜になり、シベリア沿海州の収容所に抑留。1949年〜1963年夕張鉱業所。退職後、公民館勤務。夕張写真サークル会員。1994年没。
・『夕張の絵葉書 大崎盛 写真集』(1995年、北海道アート社)
・共著『夕張 あの頃の炭都』(2007年、河出書房)

[追記2016.10.30]
田崎節郎
1925年、新潟県生まれ。1981年、夕張鉱業所退職。北海道写真協会、全日本写真連盟札幌支部所属。
・共著『夕張 あの頃の炭都』(2007年、河出書房)

渡辺実
1932年、夕張市生まれ。1964年、夕張鉱業所退職。その後、建設会社に勤務し、1987年退職。
・共著『夕張 あの頃の炭都』(2007年、河出書房)

夕張写真サークル
大崎盛氏写真集の経歴欄を見るに、1966年発足の写真団体のようです。

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